日本文学第6回 森鴎外 - 舞姫
超有名な作品ですよね。教科書に載ってますもんね。
あらすじを簡単に申し上げますと、主人公である豊太郎が、ドイツでエリスという少女と出会い、恋に落ち、彼女は妊娠しますが、豊太郎は友人の忠告もあり、日本へ帰る決意をします。
そしてそのことを知ったエリスは、衝撃のあまり発狂してしまいます。
治癒の見込みのないエリスを置いて、豊太郎は日本に帰ってしまいます。
そんなお話。
この画像もなんだかすごいな。ヒロインのエリスですよね、これ。
さて、この作品からは、浪漫主義の作品となります。
浪漫主義とは何ぞやと。
例によってとっても簡潔に申しますと、「自我の目覚め」だそうです。
・・・よくわかりませんよね。
でもこの、「自我」という言葉を念頭において「舞姫」を読むと、あぁなるほど、そういうことか。となるんですよ。
「舞姫」の主人公は、親の言うまま、上司の言うまま、社会の言うままに生きることに、反抗しようとするんです。結局うまくはいかないんですけど。
自分の思うままに、自分の好きな学問をしたい!上司の、親の、国の言うままに仕事をし続けるのは嫌だ!って考えて、また、実行もするんです。
これまでの日本人には考えられない行動、というか、「理想的」な日本人を描いてはいないわけですよね。
「理想的」な日本人を描いた幸田露伴の作品とは真逆になるわけですね。
今回もまた、描かれているのは恋愛です。
でも今までの作品とは違います。
言い方が正しいかはわかりませんが、「妊娠」という、生々しい描写があります。
異国の地で、彼女を妊娠させてしまい、さてどうしよう、となるわけです。
重いテーマですよね。恋愛をテーマにした写実主義、擬古典主義の作品には、ここまで生々しいテーマはなかったですね。
重いテーマだからこそ、答えを出すのが難しく、読む人も頭を悩ませながら読めますね。心に残ります。ずーんと残ります。
苦しいテーマを選ばないと、ずーんと残る感じは得られないんじゃないかと思います。
ストーリーとしては、ご都合主義的な感じもしましたけどね。
親切にしたらすぐ恋に落ちるし、いつの間にか同棲してるし、気を失ってる間に友人がエリスに日本に帰ること話しちゃったりするし。
ちょーっと無理やりな感じはしましたけど。
そんなところを差し引いても、とても意味のある作品なんだと思います。
「日本の近代文学は、森鴎外の留学をもって始まる」と、佐藤春夫という作家さんが言っていたそうです。なんだかわかる気がします。
ぐぐぐーんと、近代の文学っぽくなりましたもんね。
読むのが楽しくなってきました。