日本文学第5回 幸田露伴 - 風流仏
幸田露伴2回目の登場。
擬古典主義の作品です。今回で擬古典主義は終わりにしようかな。
以前紹介した「五重塔」よりも古い作品です。
「風流仏」で評価され、「五重塔」で、文壇での地位を確実なものした、そうです。
簡単にあらすじを申し上げますと、若い彫刻家が、旅先で出会った貧しい女に恋をし、一旦は結ばれるが、女の父親が突然現れ、女を連れて行ってしまう。男は女を忘れられず、女をモデルにした神像を作るが・・・。
っていうような話です。悲しい恋の話です。
文章は、擬古典主義の作品ですから、当然言文一致体ではありません。
「五重塔」よりも読みづらかった印象。ギラギラに飾られてるんですもん、擬古文で。
「五重塔」のがすっきりしていたかな。
内容はこっちのほうが好きです。恋の話はわかりやすい理論。
今回で日本文学5作品めですが、うち3作が恋の話です。さすが恋愛、普遍のテーマ。
両想いの描写がこれまたギラギラなんですよね。これでもかと、思いあってることをアピールしてきます。もういいよ、こっちが恥ずかしいよ。ってなるくらいです。
そして女をその父親に連れ去られた男が、これでもかというくらいに苦しみます。もういいよ、あきらめろよ、男だろ、ってなるくらいです。
相変わらずです。いつの世も変わりません。
この作品を書いたとき、幸田露伴は22歳くらいだったようで、激しい恋をしたあとだったんでしょうかね。
現在30代半ばの私は、こんな恋、もうできねぇなぁ・・・、という感想を抱いてしまいましたよ。
読むの苦労するくらい昔の話で、文語体で書かれてるのに、若さを感じるというのは、なんだか不思議な感覚でした。
作品とは関係ありませんが、この幸田露伴、巷では「酒仙」と呼ばれるほどの酒好きだったらしいです。
急に親近感。
擬古典主義の作品は今回でおしまいにしようと思ってますが、露伴の作品はまたそのうち読んでみようと思います。