日本文学第10回 樋口一葉 - 大つごもり

前回に引き続いて、樋口一葉の作品です。

今回は、「大つごもり」。大晦日という意味だそうです。

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最近wikiさんに頼って楽しちゃってますが、今回も頼らせていただきましょう。

あらすじです。

 

~18歳のお峰が山村家の奉公人となってしばらくした後、お暇がもらえたため、初音町にある伯父の家へ帰宅する。そこで病気の伯父から、高利貸しから借りた10円の期限が迫っているのでおどり(期間延長のための金銭)を払うことを頼まれ、山村家から借りる約束をする。
総領である石之助が帰ってくるが、石之助とご新造は仲が悪いため、機嫌が悪くなり、お峰はお金を借りる事ができなかった。そのため、大晦日に仕方なく引き出しから1円札2枚を盗んでしまう。
その後、大勘定(大晦日の有り金を全て封印すること)のために、お峰が2円を盗んだことが露見しそうになる。お峰は伯父に罪をかぶせないがために、もし伯父の罪にとなったら自殺をする決心をした。ところが、残った札束ごと石之助が盗っていたのであった。~

 

wikiさんいつもありがとう。

 

今回もバリバリの擬古文です。でもそこまで読みづらくはない印象。リズムよく読んでいけました。「たけくらべ」は、樋口一葉の文章に慣れていなかったのが、読みづらさの原因だったのかもしれません。

 

幸田露伴の「五重塔」を読んだ時と同じように、道徳の授業みたい、というのが第一印象でした。暗い話なんですが、最後には少し、救いがあるような話。「お峰」の日ごろの行いの良さが、「石之助」の行動につながったのかでしょうか。そのあたり、作者は明言せずに物語は終わります。

個人的には、「石之助」の、たまにはいいことするか、くらいの気まぐれなのかな、という印象です。これが「良い」ことなのかも、考えさせられますけどね。盗みは犯罪で、それをかばってるわけですから。

このあと「お峰」はどうしたんでしょうね。ここで自らの罪を告白しないでいたことは、彼女の今後の人生に、多大に影響すると思うんですよね。心に残ったしこりを、彼女はどう処理するんでしょう。

「石之助」の気まぐれ?を、「善行」として読んでいいのか、私にはよくわかりませんでした。

 

樋口一葉は、自身の貧困生活を通してこの作品を描いているそうです。貧困の描写は本当に胸が痛くなります。 

今日はこの作品ともう一作品、樋口一葉の作品を読んだのですが、かなり気持ちが沈みました。

 

それでも次回も樋口一葉です